2回目のシンビズム|1館目、須坂版画美術館へ
長野県文化振興事業団などが企画しているシンビズム 。県内の学芸員のみなさん20人が、それぞれ20人の若手芸術家を紹介し、県内4つの美術館で展示を開催するというもの。昨年開催時は1館しか行けなかったのですが、しかし、その唯一出かけた1館の展示にすこぶる感動。作家の眼差し、学芸員の眼差しが、美術館のなかにぎゅっと凝縮しているようでした。
その2回目となる展示が今まさに開催されています。1回目もそうですが、図録の校正に携わっていまして、夏くらいからずっと作家や学芸員の言葉に耳を傾けてきたので(原稿読んでいるだけですが)、今年こそ期間中になんとしても4館行かねばと思いつつ、まずは1館目、出かけたのは須坂版画美術館。
こちらの館の展示作家は次の5名の方でした。
齊藤春佳(油絵、インスタレーション)
高木こずえ(写真)
中村眞美子(版画)
藤野貴則(陶芸)
山上晃葉(ソフト・スカルプチュア、ペインティング)
中村眞美子さんの『ユキノカゼ』『小さな冬』のシリーズで描かれる冬の信州のはかなくて力強い風景には、ぎゅっと胸を掴まれるよう。つよいなあ。いつか欲しいと思う作品群。
そして、とりわけ興味深く楽しみにしていたのが高木こずえさんの新作、写真のない写真家の展示。原稿を読み進めるほどに、その思考の深さや広さに愕然とする思いだったのですが、作品を見てさらに一層、高木こずえさんという人の才能の豊かさをまざまざと見せつけられて圧倒されました。わたしは写真家にも芸術家にもなりたいわけではないのに、その作品を前にどうしようもなく打ちのめされる感覚。
展示のパネルにあった高木さんの言葉も印象的でした。
「何年も前に、海の向こうで見た光景が、こんなふうに生まれ変わって今ここにあります。こういうことを、写真だなあと私は感じます。」
この言葉を反芻しながらとくに版画作品を見て、高木さんには何が見えていたのかを思うのですが、とにかく時間が足りませんでした。直前の会議が30分延びて、美術館に駆け込んだのは入館最終を10分すぎた16時40分。受付のお姉さんに許していただいてわずか20分、駆け足の鑑賞となったのが悔やまれます。美術館を出るともうそこには冬の三日月が浮かんでいました。もう一度観に行きたいです。(行けるのか…)
次は松本出張にかこつけて豊科近代美術館の予定。東御と辰野は行けるのか…せめて年末年始をまたいでくれたらいいのにな。(緒)
シンビズム 2
2018年12月1日(土)〜12月24日(月・祝)
須坂版画美術館(須坂市)/豊科近代美術館(安曇野市)/丸山晩霞記念館(東御市)/辰野美術館(辰野町)