先達の教え
長野市内の主だった秋祭りも終わり、慰労会の季節。
今年は初めて、善友会さんの慰労会に参加させていただきました。善友会さんは、多くの神楽囃子保存会のなかでも異色の集まり。通常、地区ごとに保存会を形成するなか、善友会さんのメンバーはそれぞれ地域の保存会に入りつつ、地域関係なく活動もされているプロフェッショナル集団というのでしょうか。美しい技術をお持ちのごっしゃんたちがたくさんいらっしゃって、その慰労会ではもちろん獅子舞の披露もありまして、つまり非常に緊張するものなのです。
お酒とご馳走がひと段落したところで、順に獅子舞を披露していきます。
いや、この緊張感、生まれてこのかたあとにも先にもなかなかないほどでした。笛を吹く際、口の当たりが悪くて音が出づらく、勢いに任せて息を吹き込んで酸欠状態になることが(しばしば)ありますが、それをはるかにしのぐ状況。幸いこのときは普通に音は出ていて苦しくないはずなのに、もう息も絶え絶え。指も、息も、音も、震えっぱなし。度胸が座ってないことからして、もう情けない。
そして吹き終えたあと、ごっしゃんのおひとり、永原さん(写真中央)が一言。「かまくらが、あれだな」と。
〝かまくら〟とは、獅子がほぼ舞を終えたあとの太鼓と笛と鉦の伴奏部分で、日頃から合いづらいのでそこだけ練習することも多々。永原ごっしゃん自ら太鼓のバチを握ってくださり「東西南北から」と、重点レッスン。なぜかみんな録画している。永原さんのレッスンは貴重ですもんね、、、でも自分の不甲斐なさがつらい。その後、何度も何度もやってくださり、とても勉強になりました。5月の獅子舞フェスのときから気になっていたのだとか。そんなときから見ていてくださって、気にかけてくださって、情けないやらありがたいやら。
笛の大師匠、島田さん(写真左端)とお話できたことにも興奮。ああ、笛をやっていてよかったなあ。でも島田さん「せっかくそこまで吹けるのだからもっと…」と足りないところを、小さな小さな声で静かに厳しく叱咤…、その小さな声の圧力がもう大きくて…。島田さんの叱咤にまだまだ応える力量はないけれど、できることからコツコツと。
その後ももろもろドラマは展開していきますが、北信流もつつがなく終わったあとに、永原さんが本当にうれしそうに「祭りってえのは幸せなもんだよなあ、酒飲んでさあ、獅子やってさあ、みんなで笑ってさあ、こんなに楽しいことはねえわなあ、あっはっは!」と満面の笑み。四捨五入で90という御大の豪放磊落さに、もう羨望の眼差し。こうなりたい。
写真は、うれしそうに「チャンチキ(鉦)ってのは、こうじゃねえと」と指導する永原さん(中央)と、その姿を穏やかにやさしく見つめる善友会会長の伝田さん(右)。いい風景。