喜八の豆大福
明日死ぬなら何食べたい? と聞くのが、わたしと塚田の間ではやっていたことがありました。わたしは断然、原宿・瑞穂の豆大福。あんこが大好き。あんこをつまみに日本酒が飲めるくらい(身体が心配)。
そんなわたしに塚田が上田取材のお土産に買ってきてくれたのは「喜八」の豆大福。長野であんこなら喜八。あんこの方向性は瑞穂と喜八はちょっと違っていて、喜八のあんこはなんといっても抜群の透明感。とくにどら焼きからこぼれ落ちそうになる半透明のあんこのそそること、このうえなし。そして上品な甘さに、程よい粒感。豆大福に話を戻すと、板餅でくるりと巻かれた佇まいがまた、凛として美しい。餅の歯切れもよい。とても、とてもうれしい。しかし、これは昨日、渡されそびれたもの…。
「少し硬くなったら焼いたらいいらしいよ」と、塚田。
喜び勇んでおやつにグリル網で焼くことしばし。こんがり焼き目がついて、カリッとろっあま〜。見た目は楚々とした板餅の豆大福から一転、野趣をはらみましたが、これはこれで美味。もうひとつ残っている。絶妙なお腹の空き具合のときに食べたい。焼けばいいとわかったから、少しばかり時間が経っても安心です。(緒)
御菓子司喜八
上田市保野206-5
写真の器は長和町に窯を構える戸津圭一郎さんの作品