信毎広告賞
第47回信毎広告賞いただきました。こちらの広告、長野冬季オリンピック20周年を記念して今年の2月に掲載された全面の3連の全面広告で、長野五輪を経て今、そして未来というようなお題で、縁があってコピーを担当させていただきました。
3人の取材・執筆を通じて感じたのは、そのときどきで人はさまざまな事柄に出会いながら生きていて、その出会いはときに希望に満ち、ときに蹉跌に導くこともあるけれど、いずれにせよ、そこから前に進み何かをつかむためには、強い気持ちを持って進むしかないということ。
カーリングの両角兄弟は、子ども扱いだった世界大会を悔しいとは思ったけれどそこでへこたれているのではなく、やることを見出し、次に向かいオリンピックへ。1cm単位でストーンの投げる方向を調整したという話を聞いて胸が震えました。視力の不自由な井口さんは、長野で金メダルを獲得したとき、周囲のあまりの歓喜に驚いてかえって申し訳ないと思い、また競技に励んだと言います。なのに支援者はいない…そのギャップは大きくのしかかったそう。一校一国運動でボスニアに渡航した岩本さんは、その後苦悩した進路を当時の経験から自ら導き、今、真摯に子どもたちに向き合う姿勢はもう美しいとしかいいようのないたたずまいでした。
長野五輪というひとつの瞬間を改めて刻むこともそうですが、それを通じて、強くしなやかに前に向かって生きることのひたむきな美しさが伝わればいいな。そんなことを思って書かせていただいた仕事でした。(緒)
(扱い|長野アドビューロ、デザイン|轟理歩、写真|大井川茂、執筆|山口美緒)